【神は見えない細部に宿る】
昨年12月に放映された、NHK制作「坂の上の雲 最終回:日本海海戦」がまだレコーダに残っていたので、また見て泣きました。
ドラマを見てて、司馬遼太郎が小説を書くときの方法論というか、仕事のスタイルですね、を話した講演記録を読んだことを思い出しました。
講演記録によれば(記憶ですけど)、例えば、「坂の上の雲」の場合だと、海軍の軍服には袖口に筋があるが1本だったり、2本だったり、3本だったりする、どうしてこれはこうなんだ、ということを調べるらしい。実際には海上自衛隊を定年退職したような人にお願いして調べてもらったらしいけど、そうすると、彼らはどこからか、「それわぁですね、その昔、イギリスで士官の階級を見分けるために、服の袖にわら縄を巻いたらしいんですわ、下級士官ならひと巻き、上級士官ならふた巻き、大将ならさん巻き、てな感じですね。その名残が軍服の袖に筋として残っている、とまあ、そういうことですね」ってなことを調べてくるらしいのだ。
司馬遼太郎は小説の中にそんなウンチクや雑学はどこにも書いていない。例えば、「海軍の軍服というものは一つの文明といっていい、例えば・・・」というような記述はないのだ。
それならば、この調査は何のためかというと、自信をつけるためらしい。俺は何もかも知ってるぞ、袖口の白線の歴史も、ボタンの模様の歴史も、何を食べていたかも・・・、そういうゴミのようなことまで知っているという自信があってはじめて、登場人物が頭の中で動き出すというのです。
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