【そして、誰もいなくなった】
連休最後の日、家人は一人、二人と出かけてゆき、そして誰もいなくなった。
一人でぽつんと家にいると、何かをしないではいられない。一週間分の弁当のおかずを作る、換気扇の中の鳥の巣を取っ払う、等々やることはいくらでもあるのだが、その前に風呂に入ることにした。
どうせなら本を持ち込み2,3時間は入りたいけれども、風呂場に持ち込める本がない。
ならば買いに行け、と駅前のブックオフまで自転車を飛ばしました。100円で買った本なら、万一、風呂の中にポチャンと落としても惜しくないのだ。
105円でゲットした本は、
『再び男たちへ -フツウであることに満足できなくなった男のための63章-』 塩野七生 文芸春秋社 1991年4月 税込1500円
ユーモラスで毒がある、塩野七生が放つ男についてのアフォリズム、と帯書きがありました。
アフォリズム(aphorism)とは、「格言、箴言、警句、金言」の意味らしい。要するに、「天災は忘れた頃にやってくる」とか、「巧言令色すくなし仁」とか、「汝姦淫するなかれ」とか、まあ、そういう類ですね。「アフォ」は「阿呆」に通じるので覚えやすい。”こんな格言知らないなんて、アフォだなぁ”、って感じですね。
14:00開始、昨日の残り湯の沸かし直しで十分です。
16:00終了
結局、風呂に入っただけで家のことは何ひとつしなかったのだ。
この本から面白い話を一つ、タイトルは「イタリア魂」でした。
ナポリで卵を買ったときの話、6個入の箱の中、4個までひびが入っていたので店主に抗議した。
店主はおだやかな口調で言う。
「卵を料理する時、あんたならどうする。割るんじゃないかね」
彼女はしかたなくイエスと答えた。店主はつづける。
「神様があんたのその苦労を、4個まで代わってくださったということさ」
彼女はこう言い返した。
「この卵はゆで卵にしたいのよ」
破顔一笑した店主は、ひびの入っていない卵と入れ換えながら言った。
「あんたには負けたよ」
#どこかのコンサルタントが作った、店主マニュアルというのがありそうだな。
2001.5.23追記
卓球仲間の吉田さんが、店主にはもう一言ほしかった、というので代わりに考えてみた。
・・・・
彼女はこう言い返した。
「この卵はゆで卵にしたいのよ」
店主はおだやかな口調で言う。
「ゆで卵食べる時、あんたならどうする、塩かけるんじゃないかね」
女はしかたなくイエスと答えた。店主はつづける。
「だろ、塩ゆでにすると、中にまでしみ通ってうまいんだぜ」
破顔一笑した彼女は、手を伸ばしながら言った。
「買うわ」
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